他生の縁「他生の縁」年を重ねるごとに、「ご縁」という言葉が身にしみるようになってきた。 生まれてから今日までに、何人の人と出会ってきたのかわからないけれど、 ご縁がなければその出会いは、その時限りのものになっているような気がする。 「ああ、いい人だな。ずっと付き合っていきたいな」と思っても いつのまにか疎遠になる人もいれば、 「あまり仲良くしたいわけでもない・・」と思っているのに、 気がつけばン十年の付き合いになっている人もいる。 初対面のつもりで色々と話しているうちに、 共通の友達がいたり遠縁だったりしてビックリすることもある。 そんな時には、 「縁のある人とは出会うことになっているのかも・・」と思ったり、 「他生の縁かも」と思ったりする。 また、初対面でも初めて会ったような気がしなくて、 何だか懐かしい感じを受ける人もいる。 こんな感覚は私だけのものではなく、 結構多くの人が感じているのではないだろうか。 さて数年前、 「きっと前世では姉妹か親友だったんではないか」と思う人との出会いがあった。 彼女とは、行政から委嘱を受けた○○委員同士として出会った。 それ以来気が合って、私が関わっている会の協力者にもなってもらい、 いつのまにか強力な助っ人→同士へと絆が深くなってきた。 私は基本的に、公的な場で出会った人とは 適当な距離を持って付き合うようにしているので、 彼女に対しても多少クールに付き合ってきた積りだ。 (たとえば、二人だけでおしゃべり目的のランチなどはしないなど・・) しかし心の底では、お互いに役目を離れたときには、 本当の友達として遠慮なく付き合いたいと思っていた。 ところが、この4月から彼女は行政の嘱託職員として働くことになったので、 ○○委員も辞職することになった。 これからは公的な部分でのつながりがなくなったので、 堂々と彼女とプライベートな友達関係になることができる。 早速昨日、彼女の経過報告も兼ねて食事をしたのだが、 その笑顔を見詰めながら、 もしも「前世」というものがあるなら、 きっと強い絆で結ばれていたことだろうと思ってしまった。 (梨木果歩の小説に多少影響されていると思うが・・) 彼女も私も長寿の遺伝子を持っているようなので、 これからの半生は彼女と語り合うことが多いのだろうと思う。 どちらが先にあちらの世界に行くことになるかわからないけれど、 別れる時にはきっと、 「生まれ変わったらまた会いたいね」と言うような気がしている。 さて、もっとも縁の深い出会いであったはずの夫には、 同じ様にいえるかな? 「生まれ変わっても夫婦になろうね」なんて・・。 うーん私は、兄と妹、あるいはボーイフレンドくらいがいいな。 二度も夫婦をやるなんて、チョッピリシンドイ。 いやいや、そう思っているのは夫の方であろう。 「妻にするならば、別の人がいいな・・」とね。 そういえば、 とても手のかかる夫に対して良妻賢母を頑張り続けている知人が、 夫から「生まれ変わってもおまえと結婚したい」と言われて、 「私もだよ」とは答えられなかったと言っていた。 「俺じゃダメか?」とムッとされて、当たり障りのない返事をしながら、 「冗談じゃない、今度はもっと優しくて協力的な人と結婚したいよ!」 と思っていたとか。 それを聞いてみんなで笑ってしまったが、 そう思っている人も多いことだろう。 でも、夫婦になるほどの縁を紡いでしまった相手とは、 きっとまた来世でも出会うのでしょうね。 (2004年04月09日) |